密集した下町風情が残る、交通量の多い路地の一角で変形した狭小地に位置する住宅。

北側のみ道路に面し東西は隣家が迫っており、採光は期待できない。そこで東側の屋根にガラスを採用することによって上空からの採光を得、その光をパンチングの床を通して1階まで導いている。

西側居住部の短辺方向はラーメン構造、長辺方向はブレース構造で構築し、東側トップライト部の水平力は西側居住部のメインフレームに負担させ、東側は可能な限り細いメンバーで構成させて透明感を作り出している。

この2階は浴室、脱衣室、トイレを設け、半屋外的な雰囲気を演出し、この住宅の主であるゴールデンリトリーバー、ハナの居住空間となる。一方西側居住部は南北面に開口部を持ち、南側は静かな庭を望み、北側は都市のダイレクトな動きが部屋に伝わってくる。

車やバスが路地を行き交い、都市の一部として映像の如く風景が変化していくのである。今計画は密集した狭小地での坪庭の計画と並び1つの解答となると考える